宿泊施設には多くの種類があります。
代表格ともいえるホテルや旅館を筆頭に、ビジネスホテル、カプセルホテル、ゲストハウス、さらにはホステルと呼ばれる宿泊施設など。
これらは名称の違いはもちろん、施設の規模や料金相場、サービスの内容まで多種多様です。
今回は数多くの宿泊施設から「ホステル」をピックアップして、主な特徴や他の宿泊施設との違いについて詳しく説明していきます。
ホステルとは
「ホステル」というのは、低価格で泊まれる宿泊施設のことです。
このホステルという呼び名は1909年にドイツ人教師リヒャルト・シルマンが提唱した、青少年向けの宿泊施設を普及させる「ユースホステル運動」に由来しています。
ホステルとユースホステルは意味は同じですが、ユースホステルと名乗れるのは、それぞれの国のユースホステル協会(日本では「財団法人 日本ユースホステル協会」)に加盟する施設のみとなります。
現在、日本国内には北海道から沖縄まで約220件のユースホステルがありますが、ユースホステルと同等の施設やサービス内容を持ちながらユースホステル協会に加盟せず、単に「ホステル」と呼ばれている宿泊施設は全国各地に数多く存在しています。
ホステルのサービス内容はシンプルです。
多くの施設では二段ベッドなどを設置した相部屋が基本で、トイレ、シャワーは共用です。
また、多くの施設で朝食は提供されるものの、それ以外の食事は共用のキッチンで自炊できるようになっています。
宿泊客同士が交流できる共用スペースが設置されているのも、ホステルの特徴といえます。
宿泊料金は施設ごとに違いますが、ユースホステルの場合は素泊まりで3,000円程度です。
ホテルなどの宿泊施設と比較すると非常に安価ですが、リノベーションしたビルや古民家、廃校の再利用、あるいはお寺や神社の一部を利用するなど、宿泊専用ではない建物を利用するホステルが多いため、ホテル並みのサービスやセキュリティは期待できません。
ホステルとホテルの違い
ここからはホステルとホテルの違いについて、より具体的に説明します。
まずは料金の違いについてですが、国内のホステルの多くは1泊3,000円程度、海外のホステルでは500円〜1,000円前後で泊まれるところもあるなど、非常に安価です。
これに対して、およそ1泊あたり1万円前後〜数十万円程度にも上るホテルは相対的に高価といえるでしょう。
ホステルとホテルでは、宿泊する部屋も違います。
通常、ホステルは二段ベッドの相部屋(ドミトリールーム)です。
さらに共用のリビングなども用意されており、自然と旅行者同士のコミュニケーションが盛んになるのが特徴的です。
これに対してホテルは個室となり、それぞれのプライバシーや、セキュリティがしっかり保たれやすい点がホテルの特徴といえます。
また、トイレや洗面所、バスルームなどの施設についても、ホステルでは共用、ホテルではそれぞれの個室に付属しているのが一般的です。
さらに歯ブラシや石鹸、タオルといったアメニティは、ホステルでは宿泊客自身が持参するなり、購入するなりする必要があります。
これに対しホテルでは、各部屋にアメニティ類が完備しています。
ゲストハウスとの違いについて
ゲストハウスは、ホステルとよく似た宿泊施設です。
主な共通点は、宿泊料金が安いこと、相部屋が基本で宿泊客同士のコミュニケーションが発生しやすいこと、トイレやバスルームなどが共用であること、アメニティの無料サービスがないことなどです。
つまりサービスの内容としては、両者はとても近いのです。
また、法律上でも、ホステルとゲストハウスには大きな共通点があります。
「旅館業法」(※)によると、宿泊施設は設備や面積に応じて、ホテル営業、旅館営業、簡易宿所営業、下宿営業の4つに分類されます。
そしてホステルとゲストハウスはどちらも、「宿泊する場所を多数人で共用する構造および設備」を持つ簡易宿所営業に分類されます。
それでも、ホステルとゲストハウスは別物です。
法律的な定義ではありませんが、ホステルとは基本的に「料金が安い、共用スペースが用意されている、24時間対応のフロントが設置されている」という宿泊施設です。
一方のゲストハウスは、「個人経営や家族経営などの小規模施設」が多く、「ホテルのようなフロントが設置されていないことが多い」という宿泊施設です。
つまり、ただ安くてシンプルなだけではなく、「他の旅行者と交流しやすい宿泊施設」であることがホステルの特徴であり、ゲストハウスとの大きな違いであるといえるでしょう。
また、多くのゲストハウスのオーナーは、宿泊客であるゲストたちと生活の場を共にする傾向があります。
まとめ
今回はホステルの歴史や特徴について、さらにはホテルとの違い、ゲストハウスとの違いについて紹介してきました。
それぞれの特徴や魅力を理解いただくことによって、自分のニーズに合った宿泊施設を選ぶことができるでしょう。
ぜひ今後の宿泊施設選びの参考にしてみてください。