「チェックイン前に、ビールとおつまみを買っていこうかな」
「小腹が減ったから、コンビニにお弁当を買いに行こう」
ホテルを利用するとき、このように考えたことはないでしょうか?一方で、「飲食物の持ち込み禁止」を掲げているホテルも決して少なくありません。
そこで今回は、ホテルへの飲食物持ち込みについて、一般的な原則やマナー、注意点にスポットを当てながら解説していきます。
ホテルに飲食物を持ち込むことは平気?
「部屋の中でお酒を飲んでリラックスしたい」、「忙しくて外食する時間がなかった」、「ホテル館内の自動販売機や売店だと値段が高い」など、ホテルへ飲食物を持ち込みたいというニーズは意外と多いものです。では飲食物をホテルに持ち込むことは認められているのでしょうか?
基本的に、ホテルへの飲食物持ち込みはNGです。「今まで持ち込みを止められたことなんてない」とう方もいると思いますが、一般的にはほとんどのホテルで飲食物の持ち込みが「禁止」されていると思って間違いありません。
ただし、ホテルへの飲食物持ち込みについては法律上のルールというわけでなく、あくまでそれぞれのホテルが設定しているローカルルールです。そのため、部屋で楽しむ目的の飲み物程度なら黙認する、赤ちゃんの離乳食などなんらかの事情があるものは認める、一律にすべて禁止する、といったようにルールをどこまで徹底するかはホテルによってさまざまです。
ホテルが持ち込みを禁止している理由とは
法律上の根拠がなく、利用者のニーズがあるにもかかわらず、多くのホテルが飲食物の持ち込みを禁止しているのはなぜでしょうか?そこにはホテルの運営にかかわる切実な理由があります。
ホテルの中には、館内に食堂やレストランを併設しているところが少なくありません。そのようなホテルでは旅館業の営業許可のほかに一般の飲食店と同様の「食品営業許可」も取得していて、食品衛生上の厳格な義務が課せられています。具体的には「絶対に食中毒を出せない」ということです。
しかしどんなに食品衛生に気を配っているホテルでも、宿泊者が外から持ち込む飲食物の衛生管理まではできません。一方で、そのような宿泊者が食中毒になった場合に、原因がホテルで提供した食事なのか、または宿泊者自身が持ち込んだ飲食物なのかどうかをすぐに特定するのは困難です。それでも原因が特定されるまでレストランは営業停止になるでしょうし、風評被害も免れません。このように宿泊者の飲食物持ち込みを認めることは、ホテルにとって非常にリスキーな行為といえます。
ホテルが持ち込みを禁止している理由は、もうひとつあります。レストランやルームサービスで食事を提供しているホテルにとって、そうしたサービスも重要な収入源の一部です。もし宿泊者がホテルの飲食物を利用せずに、それと同等のものを(安価で)外から持ち込むなら、それは重大なマナー違反、一種の営業妨害といえるでしょう。
このように、ホテルが飲食物の持ち込みを禁止することには正当な理由があります。ホテルの利用者はそのことを理解したうえで、自分が泊まるホテルのルールに従うようにしてください。またホテルの運営者も、飲食物の持ち込みがもたらす経営上のリスクをしっかりと理解して、対策を施しておきましょう。
ホテルに持ち込みができる場合の注意点
いうまでもなく、すべてのホテルが飲食物の持ち込みを禁止しているわけではありません。持ち込みを原則禁止しているホテルでも、相談して事情を説明すれば認めてくれるところもたくさんあります。
持ち込みを認める基準や条件はさまざまです。たとえば、部屋の中で飲む飲み物程度なら黙認する、酒瓶1本につきいくらの「持ち込み料」を請求する、特別な事情のあるお客様へのサービスとして認める、といった例が考えられるでしょう。
どのような条件で認めてもらう(黙認してもらう)にしても、ホテルに飲食物を持ち込む以上、最低限のマナーは守ることが必要です。また持ち込みによってホテルに損害を与えてしまった場合には責任を取らなくてはなりません
たとえば、持ち込んだ飲食物で部屋を汚してしまったり、ニオイの強烈な食べ物を持ち込んで部屋にニオイが染み付いてしまった場合には「クリーニング代」を請求されるでしょう。また、お酒に酔った勢いでホテルの設備を傷つけたり壊したりすれば「損害賠償」を請求されることもあり得ます。
思わぬトラブルを防ぐためにも、自分の行動にはしっかり責任を持つようにしましょう。
まとめ
今回は、ホテルに飲食物を持ち込むことができるかどうかについてお話しました。一般的なホテルや旅館では原則として持ち込みを禁止していることや、その理由、持ち込みが認められるケースや飲食物を持ち込む際の注意点などについて、しっかり理解していただけたことと思います。
マナーを守って気持ちよくホテルを利用するためにも、ぜひこの記事を参考にしていただければ幸いです。