平均客室単価とは?ホテル運営者が知っておきたいADRや稼働率、RevPARの計算方法と宿泊旅行統計調査を解説 | innto(イントゥ)

平均客室単価とは?ホテル運営者が知っておきたいADRや稼働率、RevPARの計算方法と宿泊旅行統計調査を解説

ホテルを経営するためには、ホテル業界ならではの専門知識が必要になります。たとえば、平均客室単価や客室稼働率、RevPAR(Revenue Per Available Room)といった専門用語、ホテル業界・観光業界の統計データなどはその一例といえるでしょう。
もちろん、これらの専門知識をホテル経営に活かすためには、言葉の意味や表面的な数値だけにとどまらない深い理解も必要です。今回は、上に挙げたそれぞれの言葉の意味と、政府の統計から読み取れる宿泊関連のデータについて説明します。

ホテルの平均客室単価とは?ADR(Average Daily Rate)

ホテル経営の基礎ともいえるのが「ホテルの平均客室単価」です。英語ではAverage Daily Rateと書き、頭文字をとってADRとも呼ばれます。

ADRは、実際に利用された客室1室あたりの平均単価のことです。ホテルによっては部屋ごとに料金設定が違ったり、自社サイトやOTAなどの販売チャンネルによって料金が変わったりする場合も少なくありません。しかしADRの場合には、それぞれの料金設定や実際の販売価格に関係なくホテル全体の売上から1室あたりの平均単価を算出します。

ADRのおおよその相場は、ホテルの立地や種類、ランクによって決まります。あまりにも相場からかけ離れた料金設定だと利用者に敬遠されてしまうため、自分のホテルはもちろん、周辺エリアのADRも把握しておくことは経営者にとって重要といえるでしょう。

ちなみに「客室稼働率」と「RevPAR」もADRと深い関係があります。それぞれの違いや相互の関連性について、詳しくみていきましょう。

OCC(Occupancy Ratio)とは

OCCとはOccupancy Ratioの略で、ホテルが販売している客室のうち実際に利用された客室の割合、つまりホテルの客室稼働率を表す数字です。一般的に観光地などのホテルでは、GWや長期休暇などのシーズンにはOCCが高くなり、オフシーズンには低くなる傾向があります。OCCは部屋の販売価格を決める上で参考となる重要なデータとなりますから、自分のホテルOCCはしっかり把握しておきましょう。

RevPAR(Revenue Per Available Room)とは

RevPARというのは、「販売できるすべての客室」の平均単価です。同じ平均単価でも、ADRは「実際に売れた客室」の平均単価であるのに対し、RevPARでは「売れなかった客室も含めて」計算します。ちなみにADRを上げようとするとOCCは下がり、OCCを上げようとするとADRは下がります。このようにADRとOCCは反比例の関係にありますので、ホテルの経営状態を正しく把握するには、ADRやOCCだけでなくRevPAR に注目することも必須といえます。

ADRとOCC、RevPARの計算方法

ここでは「ホテルA」を例にして、ADRとホテルの稼働率、RevPARの計算方法について説明します。自分のホテルや周辺ホテルの経営状態を知るためにも、ぜひ以下の例を参考にしてみてください。

<ホテルA>
販売できる総客室数…100室
実際に売れた客室数…80室
ホテル全体の売上…800,000円

ADRの計算方法

ADRは「実際に売れた客室」の平均単価です。計算式は「ホテル全体の売上÷実際に売れた客室数」となります。
800,000円÷80室=10,000円
→ホテルAのADRは「10,000円」です。

ホテルの稼働率の計算方法

ホテルの平均稼働率は「実際に売れた客室(利用された客室)」の割合です。計算式は「実際に売れた客室数÷販売できる総客室数」となります。
80室÷100室=0.8
→ホテルAの稼働率は「80%」です。

RevPARの計算方法

RevPARは「販売できるすべての客室」の平均単価です。計算方法は2つあり、「ホテル全体の売上÷販売できるすべての客室」か「ADR×ホテルの稼働率」のどちらかを使います。

800,000円÷100室=8,000円(ホテル全体の売上÷販売できるすべての客室)
10,000円×0.8=8,000円(ADR×ホテルの稼働率)

どちらの式で計算しても、ホテルAのRevPARは「8,000円」です。ちなみにRevPARは、一般的にはADRより低い数字になります。

令和元年7月と令和元年8月の宿泊旅行統計調査(国土交通省:観光庁)

ホテル経営者にとって、業界全体の傾向を知ることは「長期的な経営戦略」を立てる上で大いに役に立ちます。たとえば宿泊業界の場合、観光庁が毎月公表する観光統計の「宿泊旅行統計調査」が参考になるでしょう。

※最新の統計はこちらのページからみることができます。

ここでは一例として、令和元年7月と8月の「第2次速報」を取り上げ、レポートから読み取れる傾向(特にホテル経営者に知っておいてほしい情報)について説明します。

宿泊者数の推移

夏休みシーズンである7月と8月は、1年のうちでも全国的に宿泊者が増える時期です。そのため、7月・8月の宿泊者数の推移は、その年の国内の宿泊ニーズをわかりやすく表す数字のひとつといえます。

(出典:国土交通省観光庁「宿泊旅行統計調査(令和元年7月・第2次速報、令和元年8月・第1次速報)」

令和元年7月の宿泊者数は「4,732万人」でした。これは前年同月比で+0.4%という数字です。ただし、日本人と外国人の内訳をみてみると、日本人の前年同月比が-0.8%だったのに対し、外国人は+5.1%と大幅に増加しています。

(出典:国土交通省観光庁宿泊旅行統計調査(令和元年8月・第2次速報、令和元年9月・第1次速報)

令和元年8月の宿泊者数は「5,828万人」で、前年同月比の-2.4%という数字です。減少しているのは日本人も外国人も同様で、日本人の前年同月比は-2.5%、外国人の前年同月比は-1.7%となっています。

どちらの月にも共通するのは、全体の傾向としては依然としてインバウンドが好調であるという事実です。特に7月は統計開始以来最高の数字でした。とはいえ、全体の平均としてはほぼ平年並みです。今後は、「インバウンド客をどれだけ維持できるか」「やや落ち込んでいる日本人宿泊者をいかに取り込んでいくか」といった点が課題となるでしょう。

客室稼働率

(出典:国土交通省観光庁宿泊旅行統計調査(令和元年7月・第2次速報、令和元年8月・第1次速報)

まず令和元年7月をみてみると、全体の平均となる客室稼働率は「62.9%」です。前年同月比は+1.1%と好調ですが、調査対象となった「旅館」「リゾートホテル」「ビジネスホテル」「シティホテル」「簡易宿所」のうち、シティホテルだけは前年同月比が-0.3%と減少しています。

(出典:国土交通省観光庁宿泊旅行統計調査(令和元年8月・第2次速報、令和元年9月・第1次速報)

令和元年8月の客室稼働率は「69.0%」で、前年同月比は-0.7でした。この月は旅館だけが+0.1%と増加しており、それ以外の宿泊施設は減少しています。

このように、月によっては減少傾向がみられる宿泊施設も存在しています。また、民泊などの簡易宿所が増加すればするほど、この傾向は強くなる可能性もあるでしょう。そのため、ホテルならではの魅力やサービスをどのようにアピールしていくかが、今後の課題となりそうです。

まとめ

今回は、「ホテルの平均客室単価(ADR)」「ホテルの稼働率(OCC) 」「RevPAR」の意味と計算方法について説明しました。自分のホテルのADRやOCC、RevPARを知ることは、ホテル経営者にとって必須の知識です。加えて、国内全体の宿泊者数や客室稼働率の傾向を知ることも、長期的な経営戦略を立てる上で不可欠といえるでしょう。この記事が今後のホテル経営の参考になれば幸いです。

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